歩きながら考えていた。
こわいのは 死ぬこと ではなく
悔いや恨みや悲しみや怒りを抱いて死ぬこと
なのではないかと。
長い短い あるけれど
生まれて死ぬまでに
残すものがない ということはシアワセなのかもしれない。
若くても悟ってる人
年をとっても野望でいっぱいの人
いろいろだけど。
何がいいのかは 誰にもわからないけれど。
歩いていると やたら野良猫に出くわす。
みんな うらめしそうにこっちをジっと見て
あたたかさを求めているようだ。
寒い冬がきて 死について思いをめぐらすのも
猫の視線があまりにも切ないからかもしれない。
ちいさな命にも あたたかさを。