着物を着て歩いていると
すれ違ったお姉さんが
「これどないして着てるのん?」
「私も着たいと思ってんねん」
と わたしの羽織をひっくり返したりしながら
感心している。釜ヶ崎で昼はお弁当屋2件と
夜は飲み屋をやっているらしい。
働き者の彼女の くったくのない表情に
ホッとした。
「今度飲みにおいでよ。」自分の店の方を指差すと
そう言い残して 自転車でパッと消えた。
昔 無声映画の弁士をやっていて
今は野宿をしているというおじいさん。
いろいろな いろいろな人に出会った1日。
人間のにおいに 夜道を歩きながら何かが込みあげた。
元上司にも「ぼんたま見てるで~」といわれた。