釜ヶ崎でうろうろしていたら
時々しか会わない顔見知りのおっちゃんと出会って
さりげなく腕にタッチされたあと
「がんばれよ」とエールを送られる。
かなりのお歳だと思うのだけど
古本(とくにエロ本が売れるらしい)や電化製品を集めては
自転車に積んで どこかに卸している様子で
生保を受けずに踏ん張っていらっしゃる様子。
「しんどい」という言葉が喉にひっかかっているのがわかる。
甘えたい気持ちが 目からにじみ出ている。
でも いつも溌剌とした声で「よぉ!」と語りかけてきて
いつもハッとするような鮮やかな色のシャツを着て
風のように去っていく。
巷で「がんばれ」がアカン風潮なのは
無責任なヤツが 高みから「がんばれよ 自分は見てるわ」
みたいな投げやりっぽかったり
スポコンみたく 押しつけがましいから
嫌なだけで
派手シャツのおっちゃんのエールは
きっと自分自身に送ったものなんだろう と思うと
たった一人で体をはって生きている彼が
まぶしくもあり
そんなおっちゃんがずいぶん老けた様子も
心配でもあり
だけども何をしてあげられるということもないので
やはり サラっと別れるしかなかった。
そんな切ないような 心に刻まれる瞬間が
たくさんある。